nanashi先生の英語教育ブログ

英語教育を中心に、多様な情報をまとめながら様々な議題論題を提示していきます。なるべく広い範囲で、知識や経験のある方と意見交換したいですね。
機械おたくでもあるので、時折ICT教育についてもボヤきます。
僕は日本での教師経験を経て、現在は英語圏の某国で主にアジア系の留学生に英語を教えています。遠からぬうちに帰国する予定なので、帰国後はまた学校教員に復帰するような気がします。こちらでも英語教授法を養成校で学んだので、その視点からも語ります。

小学英語:半数近く反対...教員、授業増を懸念

http://mainichi.jp/auth/guide.php?url=%2Farticles%2F20160918%2Fk00%2F00m%2F040%2F057000c
小学英語:半数近く反対...教員、授業増を懸念


詳しくはnaverまとめ

http://cdn.mainichi.jp/vol1/2016/09/18/20160918k0000m040059000p/9.jpg


小学校英語の導入期にも反対意見はありましたね。10年位前に、熱く議論したのを覚えています。とはいえもはや是非を議論する段階になく、実務的課題をどうするかという話です。具体的には
①人材の確保②授業時間の確保(モジュール学習には無理がある)③教員の業務負担
が主な課題となっているようです。


①人材の確保
http://cdn.mainichi.jp/vol1/2016/09/18/20160918k0000m040059000p/9.jpg
>文科省は国の研修を受けた「英語教育推進リーダー」から研修を受けた「中核教員」を養成し、2万人養成し、全小学校に配置する予定です。


別ソース(naverまとめより)
>特に、高学年に関しては、「学級担任が重要な役割を果たすこと」と併せて、(1)英語の専科指導に当たる教員を積極的に活用する(2)ネーティブ・スピーカーの外部人材の活用などの指導体制を充実させる(3)適切な人材に対しては、特別免許状を授与する――などの方策が打ち出された。


授業の質の向上は常に課題ですよね。人件費が限られるので、あまり有能すぎる人材は雇えません。TEFL等の資格を持っている先生は、巷の英語教室の先生でもあまり見かけませんね。



限られた人材で授業の質を担保するには、教科書を使って虎の巻通りに教えればいいようマニュアル化することだと思います。最初は現場に混乱があるかとは思いますが、やりながら慣れていくしかないのではないでしょうか。ツラソー!!
外部の人材が現場で歓迎されない場合があるとの記載もありますが、あまりに教育と関係ない民間の人がいきなり来ても難しいんですよね。特に児童英語は、子供の集中力を途切れさせないために教材作成や授業の行い方に様々な専門技術があります。英語ができるだけの素人さんにはちょっと難しい世界ですね。


②授業時間の確保
土曜日半ドンに戻すわけにはいかないのでしょうか・・・??
朝の会(HR)は連絡事項の伝達等もある大切な時間。これを英語学習に充てるのはツライのと、1コマ15分だと授業の形が限定されるんですよね。
例えば、ある単元の最初のコマで導入だけして、練習は明日。かと思いきや、翌日には忘れてるから導入の復習から。のように非効率的になってしまいます。


③業務負担の増加
児童英語は授業準備がものすごく大変ですからね。ある程度教材がストックされて、使いまわせるようになればいいのでしょうけど、最初の数年は本当に大変だと思います。
一番大変なのは、何といっても評価でしょう。
絶対評価の導入のときもそうでしたが、今は成績の根拠を客観的に説明できないといけないので、授業の中で”評価のための活動(小テスト)”を行わないといけなかったり、特にその辺公立校ではシビアなので、大変だなぁと思います。
ちらっとどこかで見かけましたが、教科化された後の評価は文章になるそうで。つまり、所見に忙殺される学期末、数十人分の文章を書く手間が増えるわけですね。小学校では、担任の先生が。所見って大変なんですよねぇ。


【私見】
〇 政府も個人も、高望みしないこと!!!
〇 どんどん教師への要求が上がってるけど、それに見合う給与払えるの??


そもそも30人以上の学級で、過半数を英語を喋れるようにするのは不可能です。物理的に。それはこっち(英語圏)で、優れた施設で資格と経験ある優れた先生方に何か月もフルタイムで英語だけ勉強してもスッカラカンのまま留学を終えてしまう留学生が多いことからも自明です。集団では、分からなくても止まってくれない。消極的な人は、喋れないまま放置されそのまま授業が進んでしまう。授業の進行上、下へのフォローはしますが授業の流れはあくまで真ん中よりちょっと上の生徒に合わせていくのがセオリーです。ましてクラス下位の生徒ができるまで付き合うことはできませんから。
なので、英語ができないと嘆く日本人の方も、大丈夫です。それが普通です。生徒が英語を喋れないと嘆く先生方、目標を下げてはいかがでしょう。今まで多くの先生方がそうしてきたように、下位の子には、1つでもできることを作ってあげて、ほめてあげれば十分ですよ。
それより、日本の教師の万能化がすさまじいわけです。これからはプログラミングも必修化ですよね。てことは、ご年配のベテラン先生までこれまでの教科に加え、英語とプログラミングをマスターしなきゃならないわけですか。
公教育は母数が大きいので、すべての子供に教育を受ける機会を与えるには、教師の数をとにかくそろえないといけないんですよね。能力の高い人材は、人件費も高いですよ。給料を上げずにハードルだけ上げると、必ず後々にゆがみが出ます。先生方はまじめな方が多いので、最初は努力されるでしょう。が、ただでさえ忙しい中で勉強して資格を取れなどと言われたら、まず教師を辞める人は増えますね。深刻な人材不足になる前に、政府が気づいてくれるといいのですが。
「日本の教師は英語を喋れない」「日本の教師はTOEFLを教えられない」「日本の教師は海外在住経験がない」等々。英語ペラペラでTOEFL教えられて海外在住経験のある超有能な方は、世間の平均程度の給与で休日もなく、普段の授業はもちろんいじめを防ぐために常に子供たちの人間関係を注視し、クレーム対応から子供の安全監督、生活指導、親の教育相談、休日の部活(中高)、子供が問題起こしたら警察まがいに事情確認して、時には警察と連携し、学校としてのお沙汰を下す裁判官や弁護士のような仕事までやりたいでしょうか??街に出れば、3歩も歩けば教え子に遭遇します。気軽にデートなんかできませんよ。教師にプライバシーはありません。能力があって、学校批判をされている教育への問題意識が高い方、ぜひ今すぐ現職を辞して教師になってほしいですね。
それはともかく、教師の待遇改善と負担軽減は急務です。全てのゆがみは最終的に子供たちに悪影響が出ますから。